共依存 を病院(精神科)で治療できないかと考える人もいらっしゃると思います。
しかし残念ですが、うつ病などのように具体的な治療法が確立されてはいないのが現状です。
これはアメリカのお話ですが、米国精神医学会では、共依存の定義と実証的研究に関しては、医師たちの間でもまだまだ共通の知識と認識が不足しているため、障害(精神や身体の機能が乱された正常ではない状態)とは見なされていません。
つまり、病気として診断されないのが現状です。
けれども一方で、精神障害の診断を行うための統計マニュアルには、「ほとんどの共依存者よりも、言動が受け身的で、人に服従する傾向が強い依存的な人」として❝依存性人格障害❞という疾患名が記載されています。
また、1989年には、アメリカ全国の会議で専門家が、「安心感、自尊心、アイデンティティを得るために、強迫的な行動をしたり他人からの承認を求めずにはいられない、痛みを伴う苦しい依存のパターン」という定義づけをしています。
それにもかかわらず、共依存は精神科の病気とは診断されないのです。
この分野の専門家、特にアメリカを中心とした人たち、によるその他の定義もご紹介しましょう。
もしかしたら、自分は共依存では?と考えている方にとってのヒントになるかもしれません。
●他人の行動に大きく影響され、その人の行動をコントロールすることに執着してしまう。
●愛情のある関係を始めたりそういう関係に参加する能力が低い。
●抑圧的なルールに長期的にさらされた結果の状況。
●放棄の症状──内面の現実認識が欠落していたり外面の現実への依存。
●仕事、物質、ギャンブル、食べ物、セックス、人間関係への依存を含む、強迫的行動を通じて、放出される脳内化学物質による開放感を求める、脳障害。
●自我を失う病気。
●自分の生来の自己から機能することができず、物質、プロセス、または他人に自分の思考と行動を合わせる人。
また、弁護士であり共依存の情報を数多く発信しているダーリン・ランサーは、このようにも付け加えています。
「私は共依存は複数の世代間で身に着けた習性だと確信しています。
また、文化的、宗教的偏見も強く影響していることを感じます。
ある研究では、10代の少年少女が、薬物依存症になる前にすでに脳に異常が見られたというデータがある一方で、脳の構造が似ているはずの彼らの双子の兄弟姉妹が依存になっているかというとそうではないというデータもあるのです。
つまり、遺伝的および身体的な原因が完全に影響するかという問題は、青年期の脳がとても可塑性があるということもあって、まだ明らかにされていません」。
グリーフリカバリー・スペシャリスト 吉岡 文