前回の続き
④過剰な反応
自分と周囲との境界があいまいなため、すべての人の考えや感情に反応してしまいます。しかも簡単にといえるほど反射的に。
誰かが意見を言い出して、自分はその意見に本当は賛成ではない場合、その意見の方が正しいと信じはじめるか、逆にとても防御的になります。境界がないので、警戒心が過剰なほど強く働くこともあります。
これについては、きちんと「境界」をもつことによって、それは単なる他人の意見であり、自分の意見への反映ではないこと、意見の相違は当たり前にあることで、それが自分を脅すものではないということに気付きます。
⑤干渉しすぎること、あるいは世話を焼きすぎること
あいまいな境界のもう一つの影響は、誰かが問題を抱えている場合に、その解決のために手助けしなくてはならない気持ちになり、それをしなかったり、途中であきらめたりすると強い罪悪感にさいなまれることです。
手助けしたいと感じたり、誰かの苦しみに共感と同情をするのは自然なことですが、共依存 者は他人を自分より優先してしまいます。
さらに、相手から手助けを望まれていない場合は、自分を拒否されたと感じることも少なくありません。また、手助けを続け、その人が明らかにアドバイスを受け入れていなくても、相手の代わりになんとか問題を解決しようとし続けます。
共依存者の中には、自分の価値は人から必要とされることにかかっていると思い込んでいる人もいます。
ですから、健全な手助けと共依存的な手助けのちがいについてしっかりと学ぶ必要があるのです。
⑥コントロールすること
コントロールすることで、共依存者は安心し心配なく過ごせるようになります。
もちろん自分の人生の出来事をある程度コントロールすることは誰にとっても必要なことです。誰だって絶え間ない不確実性と混乱の中で生きたくはありませんから。
しかし、共依存者はその思いが強過ぎて、リスクを負ったり感情を分かち合ったりする能力を制限してしまいます。時に、アルコール依存症のように過度に開放的になったり、ワーカホリックになって感情を封じ込めたりして、緊密な人間関係が制御不能になっていることに気づかないようにします。
また、共依存者は安心するために、近い関係の人をコントロールする必要があります。
実際、他人を喜ばせたり、世話をすることは、人々をコントロールし、操縦するために行います。あるいは、共依存者はボスのように振る舞って、何をすべきか、すべきでないかを他の人に命じコントロールしたりします。これは他人の境界線に対する違反行為です。
⑦機能不全のコミュニケーション
共依存者は、自分の考え、感情、ニーズを人に伝えることに問題を抱えています。
自分が何を考え、何を感じるか、何を必要としているのか、自分で自分を理解していないと、大きな問題に発展することがあります。
共依存者は気づいていても、真実を白状することはありません。他人を心配させたくないので、自分に正直であることを恐れます。「嫌です!」と言うかわりに、大丈夫なふりをしたり、何をすべきか理解していると周りに伝えたりします。
自分の恐怖のために相手を操縦しようとすると、コミュニケーションは不誠実になり混乱するのです。
続きはまた次回お話ししますね。
グリーフリカバリー・スペシャリスト 吉岡 文